入れ歯は失った歯を補うための治療方法として広く知られていますが、治療や費用の選択肢によって「保険適用」と「保険適用外(自費)」の2つに分けられます。保険が適応されるかどうかは、入れ歯に使用する材料や、治療法によって決まります。
それぞれに異なる特徴やメリット・デメリットが存在するため、自分に合った治療を選びましょう。
保険適用になる入れ歯
保険適用の対象となる入れ歯は、主にアクリルレジンという材料が使用されます。
この治療は、日常生活に必要な機能を持つ入れ歯を作ることを目的としており、「失った歯を補う」という基本的な機能が重視されます。
この素材の特徴は、軽量で加工しやすいという点ですが、耐久性には限界があります。また、部分入れ歯の場合は金属製のクラスプ(留め具)を使用し、歯に固定する仕組みになっています。このクラスプは機能的には安定性を保証しますが、金属部分が見えることで見た目に影響する場合があります。
保険の入れ歯のメリット・デメリット
保険適用の入れ歯のメリットとデメリットを簡単にご紹介します。
メリット
・治療費が安価
・入れ歯を短期間で作られる
・メンテナンスがしやすい
デメリット
・装着時に違和感が出る場合がある
・比較的に強度が弱い
・特に部分入れ歯の場合審美性に欠ける
上記のメリット・デメリットについて、次に詳しく説明します。
保険治療で使用される入れ歯の材料
先述したように、保険治療で使用される入れ歯の材料は主に、アクリルレジン呼ばれるプラスチックです。部分入れ歯の場合は、留め具となる金属(クラスプ)が使用されます。これらはコストを抑える一方で、装着時に違和感を覚えたり、強度が比較的に弱く長期間使用していると破損する場合があります。
また、保険が適応される入れ歯は色や形に限りがあり、部分入れ歯の金属クラスプは比較的目立つため、見た目にこだわる方には向かない場合もあります。
保険治療の費用
保険適用の入れ歯の最大のメリットは費用の安さです。本数によって異なりますが、5000~15,000円程度に収まるケースが多く、経済的な負担を抑えながら治療を受けられます。
また、保険適用の範囲内で標準的な材料を使用するため、多くのケースで迅速に治療が進められるのも特徴です。
保険診療で作られる入れ歯の寿命
保険適用の入れ歯は、材料の性質上、寿命が比較的短く、一般的には1〜3年が交換の目安とされています。アクリルレジンは長期間の使用で変形や摩耗が進むため、新しい入れ歯に作り直す必要があります。
また、噛む力の影響で部分入れ歯の金属部分が折れたり緩んだりすることもあり、定期的なメンテナンスが必要です。経済的な理由から保険適用の入れ歯を選ぶ方が多いものの、その短い寿命を考慮して計画的に交換することが求められます。
保険適用外(自費治療)になる入れ歯
保険適用外の入れ歯治療では、治療の方法や使用する材料などに高い柔軟性があり、患者一人ひとりのニーズに合わせたカスタマイズが可能です。一般的に、自費治療ではより精密な設計が行われるため、質の高い入れ歯が仕上がります。
例えば、軽く丈夫な金属床や、金属を使用せず見た目が自然なノンクラスプデンチャー(クラスプ部分が樹脂でできている入れ歯)などがあります。また、超精密義歯と呼ばれる柔軟性のある素材もあり、装着時の快適さを最大限に考慮した選択肢が豊富です。見た目や装着感、さらに耐久性の点でも保険適用の入れ歯よりも優れている点が特徴です。
自費の入れ歯のメリット・デメリット
自費の入れ歯のメリットとデメリットを簡単にご紹介します。
メリット
・装着時の違和感がない
・強度や耐久性に優れている
・審美性が高い
デメリット
・治療費が高額
・完成までに時間がかかる
・メンテナンスが難しい場合がある(ノンクラスプデンチャー)
自費治療で使用される入れ歯の材料
自費治療では、保険適用内の入れ歯に比べて使用できる材料やデザインの選択肢が格段に広がります。たとえば、クラスプ(入れ歯を固定する金具)に金属ではなく、目立ちにくい材料を選択することが可能です。また、歯茎に当たる部分の材料も熱伝導性を持つ金属床や柔軟なシリコンを選ぶことで、見た目だけでなく機能面でも大幅な向上が期待できます。さらに、材料の選択により耐久性や快適性も増加し、長期的な使用に優れた入れ歯にすることができます。
自費入れ歯が長持ちする理由
自費診療で作られる入れ歯は、保険適用のものより耐久性が高い点も注目すべきです。その理由は使用される素材の違いにあります。例えば、チタンやコバルトクロムなどの金属床は軽くて強度が高く、使用年数が長くなるほど歪みや破損のリスクが低くなります。また、ノンクラスプデンチャーに使用される柔軟性のある樹脂素材も、割れや欠けが発生しにくい設計です。それに加え、適切なメンテナンスを行うことでさらに寿命を延ばすことができます。
自費治療の費用
自費治療は保険適用内の入れ歯と比較して、費用が高額になります。
しかし、その分使用感や見た目の美しさ、耐久性など付随する価値が大きいです。高品質の材料や精密な技術が採用されることで、頻繁な修理や調整の必要が軽減されるため、長期的なコストパフォーマンスが向上する場合もあります。
保険入れ歯と自費入れ歯の比較ポイント
機能性・審美性・耐久性の差
保険適用の入れ歯は経済的なメリットがありますが、耐久性や審美性の面で劣ることがあります。一方で、自費治療の入れ歯は、高品質な材料を使用できるため、自然な見た目や長期間の使用を可能にする耐久性が期待できます。このため、見た目や機能を重視する方にとっては、自費治療が選ばれる理由の一つと言えるでしょう。
食事に与える影響
保険適用の入れ歯はプラスチックでできており、食べ物の温度が伝わりにくいですが、自費治療でつくる入れ歯では、熱が伝わりやすい素材を選ぶことができ、より自然な食事を楽しむことができます。
会話のしやすさ
保険適用の入れ歯は、強度や耐久性を高めるために厚く作られているため、話しづらさを感じることがあります。また、クラスプ(留め金)の構造上、会話中に金属部分が目立つこともあります。
日常生活でのメンテナンスの違い
日常生活における入れ歯のメンテナンスも、保険適用と保険適用外では異なります。
保険適用の入れ歯は傷がつきやすく汚れも吸着しやすい傾向があります。そのため、定期的に清掃や調整が必要です。
一方で、修理が比較的簡単でコストも抑えられるメリットがあります。保険適用外の入れ歯は表面が滑らかで汚れが付きにくい材料を使用しているため、清掃がしやすく、長期的に綺麗な状態を保ちやすい点が特徴です。ただし、しかし、その分修理や調整にかかる費用が多くなる場合があり、経済的な負担を考慮する必要があります。
まとめ
入れ歯治療は、失った歯を補い、日常生活を快適にするために欠かせない治療法です。
治療には「保険適用」と「保険適用外」の2種類があるため、どちらが自身に適しているかを考えることが重要です。
それぞれの治療法には特徴やメリット・デメリットがあり、生活や予算に与える影響が異なります。歯科医師と十分に相談し、自分のライフスタイルや健康状態に対応した選択が、快適な生活を送るための鍵となります。
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